Google 版おサイフケータイ？ Google Wallet

9/19から商用サービスがスタートしたGoogle Wallet．NFC(Near Field Communication)を用いたモバイル決裁用のシステムだが，これは具体的にはNFC対応のAndroid上で動くアプリケーションの上に，対応したクレジットカードや会員カード，ギフトカード，将来的には鍵等を載せることができるシステムのことを指しているようだ．

激しくわかりにくいが，これはおサイフケータイでも最初はわかりにくかったので，どっこいどっこいだろう．国内展開の可能性等，気になったのでいろいろと調べてみたが，さっぱりわからないという感想．おそらく機能的にはおサイフケータイでも実現可能なものがかなり含まれているので，当面は刺激を受けていろいろと便利になってくれることを期待するしかないのかもしれない．ドコモの開発者インタビュー「ドコモが語るNFCのこれから」等を見ていると，NFCとおサイフケータイの統合の動きはあるようだ．


非接触型のICカードは大きく3種類に分けられ，TypeA(今はほとんど亡きNTTのICテレカ等)，TypeB(住基カード等)，TypeC(俗称だが，Felicaはここに分類される)が主に使われている．NFCはこれら3種類とも対応できる一方，おサイフケータイはFelicaに特化した仕様になっている．ならNFCのほうがいいのでは，と思うのはもっともなのだがそれは少し早計で，今のところFelica w/ おサイフケータイは Felica チップを携帯端末に内蔵する形で実現しているため，このままでは NFC+Felica 対応の端末が出て来ない限り両対応は不可能なようだ．

先のドコモのインタビュー記事によると，NFCチップとFelicaチップを一体化して携帯に内蔵することを目指しているようだが，国内はこれでいいとしても海外(やiPhone等)はコスト面からして実現は難しいだろう．おサイフケータイはガラパゴス仕様ということでこのまま突っ走るのか，TypeA,Bと同様SIM側にセキュリティ情報を載せるように仕様をいじるかという分岐点なのか．もともとFelicaはチップを載せることで汎用性を犠牲にしてセキュリティや処理速度を稼いでいる規格だったと思うので，そこを変更するのはなにか本質的に間違ってる気もするが．

ちなみに当初サポートの Master Card の PayPass は Type A 方式のようだ．もともとICチップつきクレジットカードの決裁端末としてMaster Cardが店舗導入しているカードリーダーでソフトウェアのバージョンを上げるだけで対応可能ということで，アメリカでは一気に利用可能店舗が増えている模様．アメリカでは10万，世界で30万店舗が対応しているそうだ．一方日本ではオリコ・ジャックスの一部しかそもそもチップを積んでいないようで，とりあえず国内ではFelica系決裁との足並が揃うまでは難しそうな雰囲気だ．

とまぁ，どうしても表面的なおサイフケータイ部分に注目してしまうわけだが，裏には決裁ネットワーク同士の暗闘が繰り広げられている．今回はMaster Cardが一歩リードしているが，背後にはVISAが迫ってきている．一方でPayPalのような決裁専用ネットワークはNFCではなくWifiやBluetoothを使った少額決裁に乗り込んで来ているし，AppleのiWalletの動きもあるようだ．なんでもいいので消費者としては早く一本化してくれと言いたいところ．国内では規格はようやくFelicaに統一されたものの，その上ではSuicaだEdyだQuicpayだとゴタゴタしているのが，またFelica層で引っくり返されてしまうとちょっとうんざり感が……．

2011/10/23追記．

Galaxy Nexus が docomo から発売予定ということで，NFC の詳しい解説記事が出ていたのでリンクしておく．「Galaxy Nexus登場前に、NFCとおサイフケータイの違いを整理」．結論はあまり変わらないが，ロードマップ的に2014年という数字が上げられているのが興味深い．まぁ，要は2013年にスマフォを買う場合にはちょっと気にしたほうがいいかもしれないが，今年や来年に機種変更をする場合にはあまり気を遣っても仕方ないというあたりか．