用語がわかりにくいが,ベア,あるいはベースアップというのが全員の給料を一定額上げるということを意味するのに対し,定昇=定期昇給というのは年齢級とほぼイコールで,年齢あるいは勤続年数が増える毎に給与が上がっていくことを意味する.これらの他に,役職が上がって給与が上がる場合があり,これは通常は昇格と呼ばれる.
今回見直しの俎上に上がっているのはこの年功要素が強い定期昇給の部分.廃止した場合,昇格しない場合には給与は据え置きということになる.企業側にとっては,ベアアップの場合は社員数×ベア上昇分負担が増えることになる一方,定期昇給は入社人数と退職人数が同じであれば負担は増えない筈であるのだが,今回定昇に切り込むということは団塊世代が片付いて今後定年退職者数が減るのを見込んでいるのか.あるいは採用人数を更に絞り込むつもりなのか.ひょっとすると定年延長も見据えた話だったりもするのか.ともあれ,導入が進むと出世しないでもそこそこの給与がもらえるからいいや,という割切りが通用しなくなるんだよねぇ.
2009年,リーマンショック後の春闘では,定昇凍結という形で多くの企業が実質的に給与減となった.これは通常たとえば4/1に加算されるものを10/1に遅らせる,とかいったもの.他にも無休の休日を増やして実質給与を下げつつも,給与カーブ自体は維持するという姑息な技もあったなぁ.
もっとも,普通に改革が進んでいる会社の場合はとっくに年齢給なんてものは廃止されている.2004年の資料だが,主要企業(上場・店頭登録企業+資本金5億以上約4000社のうち回答があった260社の統計)での年齢給の実施率は37.7%となっている.1995年の同調査と比較して16.6ポイント低下ということなので,急激な廃止の流れだ.網羅的な資料は発見できなかったが,普通に検索しても2000年前後のトヨタやNTTの年齢給廃止のニュースが引っかかってくる.
ただ,実際には年齢給廃止と行っても完全に廃止してる例ばかりではなく,微妙に年功要素が入っている場合もあるので一概に年齢給がない=定昇なし,というわけでもないのかも.つまり,係長等の役職に対して給与が決まっているのでなく,1年毎に加算がある場合とか.
具体的な見直し案として以下が上げられているが,これ勤務先でも既に似たような制度は入っているよなぁ.再格付けに応じて累積するぶんがあるから,これが定昇部分にあたるのだろうか.勤務先の場合管理職になると完全に職務給+成果反映分になっており,在給年次とは既に無関係.
(1)仕事・役割に応じて等級を設け、賃金水準の上限と下限を決める"経団連、ようやく公式に「長期雇用のメリットはないです」と認める" という分析記事もあるが,冒頭に書いたようにもっとストレートな理由があるような気も.ただ,ようやく下積み時期を抜けて収穫時期に到達しようとしているロスジェネ世代がまたしても貧乏籤を引きそうなのが…….
(2)暫定措置を講じながら個々人を再格付けする
(3)仕事・役割が変わらない限り、上限で昇給が止まる
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